僕らのやっているこの素晴らしきダートバイクという遊び、誰しもが「よくもまぁ、こんなにお金かけてやっているよなぁ」と一度は思ったことでしょう。学生の頃「社会人になって月十数万もらったら使いたい放題だな!(なにが)」なんて思っていたのを思い出しますね。このダートバイクライフを続けることは、なかなか困難をともなうことも多いと思います。時間、お金、余裕、家族、仕事。様々なもののマネジメントをこなして、はじめてスロットルを開ける楽しさを享受できるわけです。このシリーズは、そんなお父さんやお母さん、学生の皆さんはたまた、定年後のお祖父さんを、ダートバイク・ヒーローとして紹介します。

 今回は、JNCCでの出店でもおなじみの埼玉県の工具屋さんABIT TOOLSの山田さんにご登場していただきます。
 ※こちらのコーナーは、どなたにもご寄稿いただけます。animalhouse.tokyo@gmail.comへ、どしどしお待ちしております!

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埼玉県/ABIT TOOLS店主 山田さん
私がダートバイクに乗るようになったのはホントこの5年くらいなもんでして、そんな私がダートバイクに関わる記事を書くというのはおこがましいような気がしたのですが…逆に言えば近年興味を持ち、そしてハマっていく過程で何を思ったのかというのをちょっと違う視点でお話出来るかな? と思い筆をとらせて頂きました。

私は工具の専門店を20年以上やっておりましてモータースポーツも好きな人間でしたから車でサーキット走ったり、もちろんバイク乗ってあちこち出かけたりくらいはしてました。

でも。

実はダートバイクって全く興味がわかなかったんですね。
工具のお店やってますからいろんな趣味の人達が来店してくれます。みんなこういう店に来る時ってなぜだかバリっと綺麗にしてくる人が多くて、お客さんのカッコイイ車やバイクをよく見せてもらってました。
でも、ダートバイク系の人達(今思えば、自走で来店してるんですからトレールですよね)はなんだか薄汚れたバイクで来てて、そんなの見て「あれはないわー」とか思ってました。あまり良い印象も無かったんですよ。

そんな私に転機が訪れたのは5年前。それまで大事にいじりながら乗っていた車を手放す事になり、趣味の車もバイクも無い生活になりました。
何かひとつ趣味が欲しいなぁ…と思っていたところに、そのころのお店の常連さんからモトクロスに誘われたんですね。
オフロードヴィレッジに行けば全部レンタルで走れるから一度体験してみない? と。
あまりに暇だった私は即答でOK。

翌週早速オフロードビレッジに行って走行!

…あれ?
…あれあれ?

そりゃーもうビックリするくらい乗れないんですよ。その時借りたのが確かCR80Rで、最初見た時「こんなちっこいのかよー、つまんねー」とか思ってたのですが、初心者にはモンスターマシンなわけです。アクセルを開ければ目がくらむほど速いし、カーブでは路面の接地感とか全く無いし、ちょっと疲れてエンジン止めないで休んでたらフクモト社長に「こらー! エンジンカブるだろうがー! 走れー!」って言われるし…。

で、ここでめげると思ったでしょ? しかーし! これで火が付いてしまったのですよ。翌週、早速その常連さんから中古のモトクロッサーを買い取って、トランポも無いので近所の車屋さんに行って安い軽トラ買いました。そんなわけでいきなりダートバイクライフが始まったわけです。

私は水曜日が定休の仕事してますので始めたばかりの時はいつもひとりでした。そんな中で、同じ水曜日休みの走り友達とも知り合っていきます。仲間はみんな初心者だったのでそれこそダートスポーツ誌を穴が空くほど読んだりしつつ知識を蓄えていきました。

やがて新車のモトクロッサーを購入。仲間もお店を中心に増えてきて10名くらいになってました。
この時にまず思ったのが「とにかく車両をバリバリに綺麗にしておこう」と言う事。最初に書きましたが、汚い車両は新規の人にとっての魅力が半減してしまうので、せめて自分のバイクくらいは、綺麗な状態を保っておこうと思ったんですね。こんなに魅力のあるモータースポーツをひとりでも多く体験して欲しいと考えました。そしてひとりでも多くの人と知り合って一緒に楽しみたいとも。

ですから、整備はすごくこまめにしてますし手間も掛けてます。しかしお金をつぎ込んでいるかと言われるとそうでも無くて、あくまでもお父さんの小遣い範囲でやりくりしてますので月に1万円くらいですかね。そうそう普段から綺麗にしておく癖をつけておくと、バイクってそんなに悪くならないんですよ。なので結果としてコスト減にもなってるのかな。

普通の家庭だと、金の掛かるバイク趣味って大変ですよね
でもその辺は工具店経営、店主自らバイクに趣味で乗っているってのはなかなかいいでしょ? なので昔からウチの家庭では、カミさんがモータースポーツ趣味をひとつだけ許す! というスタンスなんです。店の経費としては一切認めない、あくまでも個人の趣味の範疇で済ませてって約束になってます。車やってる時はバイクはダメ、バイクも2台持ちとかダメってな感じです。ダートバイクに乗るようになって練習行けば大汗かいて運動してくるのが、なかなか好印象のようです。子供たちにも受けがいいですしね、現場には来たりしませんけど応援してくれてますね。

そんな子供にこの前「そういうバイクに乗ってる時って何が一番楽しいの?」と言われました。確かにYouTubeとかの爺ヶ岳のレース模様とか見てると何が楽しいんだか分からないかもですよね(笑)

自問自答してみると。
そりゃー速くなってレースでも勝ちまくってとかは楽しいんだろうけど、今の私はそうじゃ無いなと。

そう! 仲間と走るのが楽しい。
春夏秋冬、様々な季節の中、暑かったり寒かったりしつつみんなとワイワイ走るのがとにかく楽しい。

そう答えると「へー、そういうのってなんかイイね」とイイネと頂きました。

仲間と楽しくワイワイ走る。
それは現在の仲間だけに限った話ではないんですね。いろんな人と知り合っていろんなフィールドに連れて行ってもらったり、連れて行ったり。そんな中で最低限のバイクテクニックが欲しいんです。バイク乗るのがうまいあの人とも一緒に走りたいし、初心者なあの人には出来る限りのフォローもしてあげたい。そのために毎週バカみたいにバイク積んで出掛けるのかな? と思います。

今ではもう趣味とは言えないかも知れません、生活の一部になったダートバイク。これからもたくさんの良い出会いがあるように今週もバイク積んで出掛けますよ。

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