R・カーマイケルの初来日に湧いた広島ですが「ドクターD」ことダグ・デュバックもヤマハのアドバイザーとして来日。どちらかと言うとお忍び的なヤマハのチームサポートという側面が強かったものの、本誌インタビューにも真摯に答えてくれました

80年〜90年代ヤマハファクトリーで活躍。現在エキゾーストパーツのD.R.D(デュバック・レーシング・ディベロップメント)経営、スクールも人気が高い

80年〜90年代ヤマハファクトリーで活躍。現在エキゾーストパーツのD.R.D(デュバック・レーシング・ディベロップメント)経営、スクールも人気が高い

DS:IA1予選のあと、ヤマハファクトリーの安原志選手に熱心にアドバイスをしているところを見たのですが、どんな内容を?
「まずはいくつかのメンタルアドバイスをしたよ。レースにどう取り組み、アプローチしていくか。ぼんやりとした目標ではなく、しっかりターゲットをフォーカスすること。
テクニック面に関しては、前後左右にボディポジションが動きすぎるのが気になったので、修正するようにアドバイスをしたかな。もっと身体を安定させることが重要だね。あとはラインチョイスに関して。何度も何度も同じラインを通っていたので、もっといくつかのラインを試すべきだ、と話したよ」

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DS:ヤマルーブレーシングの渡辺祐介選手に関してはいかがでしょう?
「彼はシーズンオフに私のところへ来てトレーニングしてたんだ。そこでテクニック的にアドバイスしたのは、コーナリング。彼はギリギリまでフルブレーキングしていることが弱点だったので、ブレーキングはもっと早めに終了して、コーナーをスムーズに(時には惰性で)曲がっていくことが理想だと伝えたよ。(※デュバックは「too much full braking」と表現していた)。
このテクニックに関しては、何回も話して、写真やビデオにも何回も撮って確認して、徹底的にやったんだ。今ではだいぶ理解してもらえたと思っているよ。コンスタントにスピードも出るようになってきたし、徐々に進化しているね」

DS:海外ライダーと比べて、日本人ライダーの課題はコーナリングにある、という話がよく挙がるのですが…。
「広島のレースを見て、何人かのライダーはとても良いコーナリングをしていたし、そんなことはないと思うよ。ヨーロッパはヨーロッパで独特のコースコンディションがあるし(例えばディープサンドや)、スーパークロスとモトクロスでもコーナリングはそれぞれ異なるからね。ただ、全体的なレベルアップアップは必要だと思うよ」

広島のサイン会でもステキな笑顔を見せてくれた

広島のサイン会でもステキな笑顔を見せてくれた

DS:若い世代のライダーにアドバイスをお願いします。
「ライディングだけでなく、メンタルやフィジカルもバランス良く鍛えること。自分より速いライダーの走りをよく見て、理解すること(もちろんyoutubeでトップライダーの走りを見るのもいいよ!)。そしてできるだけ若いうちから適切なコーチングを受けること。
アメリカでもベースボールやバスケットボールなど、ほとんどのスポーツはコーチングがついているのが普通だし、それはモータースポーツでも同じ事が必要だと思う。ひとことで“コーチ”と言っても、良い場合、悪い場合、色々なレベルの人がいるから難しいんだけど、現役をリタイアした選手などはとても多くの経験を持っているからね。そこから学ぶべきことは大きいよ。
日本の場合はそのチャンスが少ないことも理解しているけど、どのスポーツを見ても一流のプレイヤーには一流のコーチがついているから、そこはやはり不足している部分かもしれないね」

年に一度グレンヘレンで開催されるワールド・ベテラン・モトクロスで、#130KAMIKAZE伊田井佐夫さんと並ぶデュバック

年に一度グレンヘレンで開催されるワールド・ベテラン・モトクロスで、#130KAMIKAZE伊田井佐夫さんと並ぶデュバック(PHOTO/ERI TAKAHASHI)

DS:ヤマハとしては、そういうコーチを日本で育ててくれるさらに上の“コーチ”を求めているようです。
「イエス! それもとても重要なことだね。僕も自分の役割はそこだと理解しているつもりだよ。広島のあとには3日間ほどの合宿があるんだ。そこでライダーだけでなく、周りのコーチたちにも『何を教えてなくてはいけないか』理解してもらいたいと思っているよ。コーチ・ザ・コーチだね。

DS:今日はありがとうございました。

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