今年の5月、電撃的な初来日を果たしたAMAのレジェンドライダー、リッキー・カーマイケル。ここでは、本誌2015年8月号にて掲載したインタビューを特別に公開しちゃいましょう。世界最速の秘密がたくさん詰まっているはず!
vol.01はコチラから)

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「ロクスンとトマック。間違いなくこの2人だね」

 

DS:RCHのロクスンはどんなライダー?
「本当に速いライダーだし、才能もある。でもまだとても若い。僕が思うのは、もっとメンタル的に自信を持つ必要があるということ。それができれば来年、スーパークロスもモトクロスも勝てないわけがない。K・ロクスンとE・トマック、今後はこの2人がチャンピオンになっていくはずだね。どちらかがメンタルマネージメントの大事さに気づけば、だけど。2人とも真実に気づいてないんだ。現実を見て、アジャストメントする、それが重要だよ」

DS:アナタはどうやって自信をつけたの?
「とにかく練習を重ねることで、気持ちを作り上げていくしかないね。いい準備がいい結果に繋がるし、練習で自分を追い込めば、本番に強くなる。それしかないよ」

DS:スランプになったことはある?
「イエス。1999-2000年の2年間はスランプだったと言えるね。トレーニングを変えて、もっと真剣に内容をフォーカスして、仕事としてのライディングへの取り組みも考え直したんだ。自分の気持ちを切り替えることでスランプから脱出できたよ」

DS:アナタはなぜスズキを選んだの?
「スズキのチームや会社のスタッフが人間的に素晴らしいというのももちろんあるんだけど、とにかくマシンのすべてが良かったんだ。とてもニュートラルでクセがない。自然に操ることができる。とてもパワフルだけどハンドリングが悪い、というような偏りもないし、RM-Zは全てにおいてバランスがいいんだ」

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チャンピオンになるための一週間って?

 

DS:現役時代の1週間のメニューを教えて!
「OK。まず月曜日。7:30に起きて10分のストレッチ。犬だって起きたら伸びをするだろ? それと同じだよ(笑)。8時から1時間自転車に乗るんだ。戻ってきたら朝食を食べてコースへ行く。30〜40分コーナリングのセクションをして、休憩。また違うコーナリングで30〜40分。それで終了。この時、土曜のレース(アメリカでは土曜に決勝)でできなかった課題などを中心にやるんだ。

そして火曜日。まず起きて(笑)。自転車までは毎日同じだね。コースへ行って、レースを想定した40分(30分+2周)のヒート練習を2本やる。午後はジムに行って全身のウエイトトレーニング。

水曜日。この日はインタバールトレーニングをする。2分全力、1分休憩、といった感じで負荷をかけてね。それで水曜日はおしまい! そのあとは何もしないよ。休息はとても大事なことなんだ。

木曜日。起きて1時間自転車に乗って、40分のヒート練習。この日は「2周-3周-2周-3周-3周」のスプリントタイムの練習をするんだ。間の休憩はタイムを確認したり、ママや練習相手と少し喋るくらいでそんなに時間は空けない。なぜこのラップかと言うと、2周は誰でもスピードを維持できると思うんだけど、3周はもう少しハードになるから、少し調整して走る必要があるんだ。1%くらい抑えて、とかね。その調整を覚えることが大事なんだ。そして午後からジムへ行ってウエイトトレーニング。

金曜日。レース会場へ向かう日だけど、1時間の自転車をやってから出発。レースの時も現場で20分、エアロバイクは漕ぐよ。

そして土曜日はレース。

翌日の日曜日はオフだけど、1時間の自転車はやる。エブリデイキープ! これが成功の秘訣だよ。毎日続けることによって、身体の調子を整えるのはもちろん、精神的に強くなれるんだ」

DS:ランニングではなく、自転車の理由は?
「両ヒザともに前十時靭帯をケガしているから、自転車なんだ。でも自転車トレーニングは14歳の頃からやっているよ。その前は9歳の頃から毎日3kmくらいランニングしていたよ。ママは自転車で後ろからついてくるんだ(笑)。小さい頃に、毎日続けていくことの大事さを彼女から教わったよ」

DS:朝起きて、体調が優れない時はどうしてた?
「病気で倒れたりした時は別だけど、基本的には負荷を軽くしたり、少しプログラムを変えて毎日続けていたよ。『カラダがダルいからやらない』っていうのは『コースのコンディションが悪いから今日は走らない』っていうのと同じだよ」

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「誰よりも乗ること。バイクを知ること」

 

DS:今後、日本人がグローバルな舞台で活躍するために必要なことは?
「AMAでもMXGPでも、チャンスがあればどんどん挑戦していくこと。若いライダーにとって、自分より速いライダーを見たり、同じコースで一緒に走ってついていくことはとても大事なんだ。そして、そういう環境に自分を置くこと、そういう環境を作ること、が大事だと思うよ。あと今後は特に、若いうちからバイクの挙動を理解して自分でセットアップできるようになることが重要だね。何か分からないけどおかしい、ではなくて、しっかりとどこがどうで、とエンジニアに伝えられるようになること。バイクのことを知ること。とても重要だよ」

DS:最後に、モトクロスに取り組むにあたって一番大事だと思うことを教えて!
「誰よりもバイクに乗ること。乗れば乗るほどうまくなるものだからね」

DS:ありがとうございました!
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リッキー・カーマイケル
[Ricky Carmichael]
アメリカ・フロリダ出身
1979年11月27日生まれ(36歳)

ジュ ニア、アマチュア時代からその名を轟かせ、1997年よりプロサーキットカワサキからAMAへフル参戦。その後、ホンダを経て現在も契約が続くスズキへ。 10年連続チャンピオンやアウトドアでの全勝優勝など、数々の記録を打ち立てた、まさにレジェンド。現在はK・ロクスンなどを抱えるRCHの共同オーナー として活躍する傍ら、RCU(リッキー・カーマイケル・ユニバーシティ)というプログラムを開催するなど、後進の育成にも積極的

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