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いまさら聞けない、下田丈くんてどんな子⁉︎ vol.3 現地カメラマンが感じた「勝利の条件」
今週は、下田丈の軌跡を連日お届けしています。第3回の今日は、2014年8月のFIMジュニア・モトクロス・ワールド・チャンピオンシップの続編。
PHOTO/TAKURO NAGAMI
勝つ為の環境作りが圧倒的に違う
丈は現在アメリカに拠点を移してレース活動をおこなっているが、メインで乗っているのは85㏄だ。現にワールドジュニアの一週間前に開催されたロレッタリンでは85㏄のクラスに参戦している。今回のレースも65㏄に出れる年齢制限の最後の年(12歳)となり、昨年の成績や実力から言っても「総合優勝」を取りにいったレースだった。だからこそ、ヒート優勝は果たしているものの、今回の総合2位は、丈やチームにとって決して満足のいくものではなかったのだ。
これには、他国との「真剣度」の違いが出てしまったのではないかと現地のカメラマンは感じたという。例えばスタートで出遅れて必至に追い上げるも4位になってしまったヒート1。スタートグリッドの整地に関して、丈は明らかに他国のライダーより甘かった。しかし、ここで他国との環境の違いについても触れなければならない。
今回、国対抗に関しては1位アメリカ、2位ドイツ、3位フランスという結果になったが、各国にはトレーナーやレースアドバイザーが必ずと言っていいほどついている。スタートやレースでのアドバイスはもちろん、食事や飲料面での指示、すべてにおいてのマネージメントが徹底されていて、まさに国の威信を背負ったファクトリー体制だ。こういった面での違いについては、もはやライダーの実力うんぬんの話だけではない。
「勝つ為の環境作り、レースにかける本気度」が、国レベルであまりにも違うのだ。厳しいようだが、結果的には「勝てるレースで勝てなかった」と言わざるを得ないが、それは本人達も自覚しているし、嬉しさと悔しさが同居しているところだろう。そしてスタートを修正したヒート2では、2位以下を20秒以上ぶっちぎっての圧倒的な勝利を見せた。
つまり、丈にとって総合2位はけっして奇跡なんかではない。十分に世界一になれる実力を持っているのだ。
今回はBOSS RACINGのチームメイト、岸桐我(22位/9位 総合16位)も参戦。他国が65〜125までメンバーを揃えているなか、日本はまだまだ寂しい65の2台体勢だが、今後もっと多くのライダーが参加できる体制が作っていければと願って止まない。
昨年は下田丈の単独参戦だったが、今年はライダーが2名。マシンやパーツの手配など様々な壁や現場でのトラブルもありながら、みんなで今回の優勝を掴んだ。監督の元木氏のサインボードには「勝」!
各国が勢揃いするセレモニー。「日本は2人だけなのかい?」とどうしても言われてしまう状況だが、数年後、ここに65〜125までの精鋭が揃った日本チームを見てみたいものだ。それにはやはりメーカーとMFJの協力が必須となる。早急な体制改変に期待したい。
125ccで優勝した#81ブライアン・スーは現在、ロックスターエナジー・スズキに所属。父親がハンガリー、母親が台湾出身で、日本語も少しだけ話せる。ちなみに下の写真、そうUSAチームのサイン会だ。これを見て頂ければどのくらいのイベントなのか分かって頂けるだろう。
下田丈の数年後に想いを馳せる
良くも悪くも、まだ子供だ。
伸びやかなキャラクターは、ガチガチに緊張してしまうライダーよりずっといいし、現場でもとても愛される。しかし、丈が上り始めた階段は、決してそれだけでは進んでいけないとてつもなく厳しい世界だ。当たり前だが排気量がステップアップするに従ってレベルはどんどん高まっていくし、そこから先はさらに厳しいAMAやMXGPといったプロの世界がある。世界中のキッズ&ジュニア達がその限られたシートに向かって突き進んでいくのだ。
でも想像してみてほしい。この環境で揉まれた丈達の世代が、数年後のネイションズに挑戦する姿を。メーカー大国として各国からリスペクトされている「TEAM JAPAN」が躍動する姿を。
丈と桐我が進んでいるこの道を繋げていくことが、今の日本のモトクロスにとっていかに重要なことなのか、もっと考えていかなければならないだろう。
なんだか堅苦しくなってしまったが、最後に、丈、本当におめでとう!!
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