今回はダートバイク向けってわけじゃなく工具全般のお話。
T型レンチが攻勢をとるダートバイクの整備事情ではラチェットとかソケットの使用頻度ってそんなに高くないのかな?と思います。

んじゃ全然使わないのか、と言うとやっぱそうじゃなくてみなさんの工具箱を覗かせてもらうとちゃんと入ってるんですよね。
自動車の整備と違って狭所で格闘するような事が少ないせいもあると思うのですが、結構適当にラチェットを持っているだけって人を多く見かけます。

ですので、今回は「そんな事ないよ、ちゃんと理解して揃えるとすっげー便利なんだよ」って事を伝えるべく、ラチェットの超基本事項な差し込み角とソケットの関係性みたいな事をツラツラっと解説してみたいと思います。

 

そもそも差し込み角ってなんだ?

差し込み角とはラチェットにソケットを差し込む黒くて四角い部分の事。

IMG_4190

ここの部分ですね。
ここって各社テキトーに作っているわけではなく世界の統一規格があります。
この差し込み角を世界ではじめて採用した(決めた)のはあの有名なスナップオン社でして、まぁ社名にもなっているくらいなわけで『スナップ』して『オン』ですからね……、世界で最初に着脱式のソケットを発明した会社がアメリカの工具メーカーだったために、この四角い部分はインチサイズになっております。

よくプロメカさんや工具好きな人が『シブイチ』とか『ハチブンノサン』とかいっているのがソレでして。
一般的に車両整備によく使われる差し込み角は以下の通りです。
※下記以外の大きさの差し込み角もありますが、少し特殊なので今回は割愛します。

・1/4(6.35mm)
・3/8(9.5mm)
・1/2(12.7mm)

1インチとは『25.4mm』なので1/2インチはちょうど半分の12.7mmってな計算方法で覚えておいてください。

IMG_4185

ちなみにこの差し込み角。
工具店をやっているとよくある話なのですが、工具を購入しにきたお客さんが自分の持っているラチェットの差込角が分からなくて、工具を買えずに一度確認しに家に戻ったりするケースがあります。
それくらい差込角ってアバウトに覚えている人が多いんですね。

ですので、まずはご自分の持っているラチェットやソケットの差し込み角くらいは覚えておくようにしましょうね。

 

なぜ差し込み角は多種類あるのか

で、お次はなんでこの差し込み角ってのが大きさ違いであるのか?って事を説明します。
答えは簡単で

  • 工具そのものの大きさが変わるので、掛けられるトルク(力)が変わる。
  • つまり受け持つボルトサイズの大きさも変わる。

ということなんです、はい。

size01

上記の図は差し込み角別の最大設定サイズです。
こんな風に差し込み角によってソケットサイズの最大値が変わります。
工具って別に車両整備してる人のためだけのものではありませんから、精密な事やってる人もいれば、大きさソケットをメインで使っている人もいます。
そんないろんな現場にあわせ多種類の差し込み角があるわけです。

──、とここまで書いて。
それではこれから初めて工具を購入しますよっていう人は逆にどれ買えばいいのかって事ですと……。
とりあえずのオススメとしては3/8(9.5mm)を買っておけば間違いないでしょう。
一般的には車両整備向けに適しているのは『3/8』だといわれております。
(日常整備だと8~24mmくらいですからね)
また以前のコラム『プラグレンチのふかーい話』で紹介したソケットタイプのプラグレンチは大抵3/8差し込みになっておりますし、車両整備に係わる特殊ソケットもほとんど3/8差し込みです。

ってなわけでよく『お買い得工具セット』とかも見掛けると思いますが、とりあえず迷ったら3/8(9.5mm)を買っておけばまず間違いないのです。

 

……でもね。
んじゃ他の差し込み角ってあまり使わないしいらないの?って疑問が浮かびますよね。
もちろんそんな事ないんですね、シブイチもニブイチも持っていれば整備ライフをもっともっと楽しくしてくれる工具なんです。
次の機会にその辺の事とソケットの関係性の話をしてみたいと思います。
お楽しみに!

今回オススメ差し込み角として取り上げた3/8(9.5mm)のラチェットソケットは下記のページにあります。
工具専門店エイビット>>3/8ラチェットセット

 

 自分のトコのWebサイトでも日々いろんな工具を更新しております。
ブログももうちょい専門的なの書いてますので見てやってください。
Webサイト:https://www.abit-tools.com/ 

Follow me!

この記事の著者について

エイビット ヤマタク
エイビット ヤマタク
工具店をはじめて25年とちょっと。
自身もダートバイクを乗り回しております。
お店は東北道羽生ICから車で5分。
JNCCなどの会場にも出店参加してますよー。