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容赦なく立ちはだかった世界の壁。
しかしTOMOKIはイタリア人の心を掴んだ!
いよいよ本格スタートしたENDURO GP。
セレモニー的なスタートはイキの良いMCが、
「オッタントットー(イタリア語で88の意味。今回のゼッケンナンバー)、トモキ〜オオガミ〜。ジャポネーゼ!」と盛り上げていました。
昨日からMCに連呼されています!
1周2時間以上かけるコースを3周するGPクラスと、大神君の参戦するE2クラス。スタートからタイムチェック1(TC1)までのルートが、実はヤバカった。
ここは周回ごとに規定時間が25分、24分、23分と縮まっていくのですが、実に日本でいうハードエンデューロ級の難所だったのです。
通常、ライダー以外の人間はテストしか見れないもので、ルートはどんな状態なのか想像もつかない世界。大神くんが体験したルートは、実に厳しくタフなものでした。
以下、本人の記憶したルート。がれた沢を2~3km走る中で、ステアも2、3か所。さらにウッズのアップダウン。そしてウッズの中のキャンバーは、なんとタイヤ1.5本分しかない状況。ここがハンパなく難しかったようで、しかも周りのライダーはアクセルワイドオープン。これでコテンパンに疲労した体で、ようやくTC1。
ここから高速ガレ、ウッズの下り、ガレの林道をひたすら走り、TC2到達。さらにガレた下リの先にエクストリームテストがあります。
ここでは多くの観客が集まり、特に地元イタリア人ライダーへの応援が凄まじい。ホーンやチェーンソー、口笛に掛け声と拍手でライダーを鼓舞します。
世代はまさに子供から老人まで。モータースポーツが根付いた文化を感じます。
大神くんを待つ我々もドキドキしてきました。
そして本人のトライ。出だしは順調で、最初の課題のヒルクライムもこなしていきます。しかしラインのミスで2回転倒。日本人ライダーの参戦自体が珍しく注目される中、大神くんはそれでも笑顔や声援へのお返しも忘れません。
自信もあったはずだし、違うもので魅せたかった。でもしかめっ面しても仕方ない。
声援に応える大神くんの姿がありました。それを見て、安心。
そんな姿が観客の心を打ちました。
彼らは困難に立ち向かう大神くんの姿に心を打たれ、大声援を送ります。
欧米のモータースポーツファンは、頑張る人、諦めない人への賛辞を惜しまないですよね。さらに大神くんには笑顔と愛想の良さがありますから、もう心を鷲掴みしたわけです。
ちなみにGPライダーやE2ライダーは、素晴らしい走りを見せてくれました。ゲキ下りもワイドオープン。その勢いを殺さずにターンして、壁のようなヒルクライムをスムーズに通過していき、最後の登り口を進行方向に向けてウィップする余裕の走り。マイクブラウンもこの通り。
しかし下の方のクラス(全日本で言うナショナルや承認クラスも存在します)ではかなり苦戦しているようで、上りきれなかったりクラッシュするライダーも多数。少し安心しました(笑)。
その後ルートに戻り、山を登り、林道を走行してクロステストへ。ここではトップライダーの尋常ならぬ激走が見れたそうです。明日は私も見に行きたいと思います。
ルートに戻り、ガレ登りがあり、フローティングの連続で走破していきます。終盤はハイスピードな草原を走り、エンデューロテスト。そして枯れ沢を走ってパドックに帰還。
大神くんは1周を4分のペナルティで周回。
しかし2周めのルート序盤で体力を使い果たし、熱中症気味に。その状態でエクストリームテストに突入して15分のペナルティを使い果たし、残念ながらタイムアウトとなりました。マシン、体自体は問題なし。
とにかくルートもテストも全開で走らなくてはいけないこと。体力とスキル不足を痛感し、悔しい思いをした土曜日でした。
しかし、課題は見えているので、何が足りなかったかは本人が把握しています。
何とか明日はクリアして周回を重ねてほしいです。
悔しい思いをした大神くんに優しい言葉で明日への励ましを行うニコラスメカニック。
本当にいい人です。二人のハグする姿に打たれました。
着替えた後、研究のためにテストを訪れたら、観客が拍手を送ります。サインを求められたり、話しかけられたり、写真を撮られたり。
ただ珍しい日本人だから。辛そうで励まそうとしたからだけではないことを、傍目に見て感じ取れました。
彼らは大神くんのガッツと愛嬌の良さに惹かれたのです。
本戦も参戦しているエンデューロライダーのフランシスコ君も苦戦したようですが、「あなたのファイティングスピリッツに、心を動かされた。自分も頑張ろうと思いました!」と感銘を受けていました。
イタリア初日に下見で仲良くなったマルコさんは、1周しか走れなかったようです。お互い、明日頑張ろう!という会話も、見ていて熱いものを感じました。
「俺はお前のサポーターだから、明日もめちゃくちゃ応援するからな。アクセル開けて行けよ!」と。こちらではエンデューロライダーもファンも若い人が多いです。世代を超えて、受け継がれていることを感じます。
これを書いている今晩、大神君のFacebookにはGPライダーやスタッフ、観客からの友達申請が殺到(笑)。
そうそうたるメンバーのサインがある中、大神くんにもサインを求めるファン
タイムアウト後も明日に備えて見学しました。
あと数時間後にDAY2を迎えます。
マーシャルも格好いい
世界最高峰の走りが凝縮された世界。
ただ辛いだけじゃない。
応援があるから頑張れる。素晴らしい環境だから頑張れる。
今、そしてこれから必要となる課題も、GPレースに出たからこそわかる。
ライダーにとって、さらに海外レース参戦にとって、ある意味成績よりも大事なことを、今日彼はつかめていた。
筆者は、そう思いました。
この記事の著者について
- キース宮崎
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