ひとことで工具といっても、そりゃもーめっちゃたくさんの種類がありまして、かなり頑張って大分類をしたとしても結構な数になってしまいます。
実際うちのお店のWebサイトでは工具を分類してカテゴリー分けで表示しているのですが、孫分類まで数えると200近いんですね。
なるべく細かくなり過ぎないように分けてそれですからね、そりゃもー本気で数えればすごい数だと思います。
そんなわけで、今回は工具の種類とかそんな感じのコラムです。
ま、工具全般の事を書いてもおもしろい話にはならないので、個人的に知っておいてもらいたい切断工具であるニッパーを少し掘り下げてみたいと思います。
ニッパーについての考察
工具に詳しくない人でも、なんとなーくニッパーにいくつかの種類があるのは分かるとは思います。
見た目からして違うのもありますしね。
例えば。
当店の取り扱いであるプライヤー専門メーカーのKNIPEX(クニペックス)のWebサイトを見てみると……
そりゃもうなんだか分からないほどの種類のニッパーが(これ全部ニッパー/カッターです)
私ですら実物を見たことないものまでありますからね……。
ちなみに整備工具でいうプライヤーといえば基本となるのが『ラジペン・ニッパ・プライヤー』になると思います。
各工具メーカーから出ている基本工具セットを見ても、この3本は必ず入ってますよね。
しかし海外メーカーではそんなに単純な構成ではない事が多いのです。
ラジペンだって「○○用ラジペン」とか「○○型ラジペン」とか同じラジペンの中でも種類があって、それらを揃える前提で工具がラインナップされてたりします。
そして今回のテーマのニッパーも同じでして「1本じゃダメですよ、状況に応じて数本用意してくださいね」ってな感じのメーカーラインナップになってます。
これって「やっぱ海外の工具メーカーってすげー」って話になりがちなんですけど、個人的な見解としては日本人ってやっぱ器用なんじゃないかな? と思うわけです。
海外の工業製品全般にいえますがすごく細かく何用とか区別したがりますよね。
そういうのって、その製品の出来とか使う人間の器用さに結構依存しているんじゃないかなーとか思っちゃうわけです。
逆に日本人って昔から「今あるものでなんとかしてしまおう」ってやってきた(やれた)から、派生モデルとかの必要性がなかったんじゃないかなーとか思っております。
まぁこれもどっちが良い悪いって話ではなくて、そういう文化の違いがあるよねーってくらいで覚えておいてください。
ただしひとつだけいえるのは、そんな不器用な人達が使う(妄想ですけどねw)工具を作る、海外の工具メーカーはいろんな過程を経てこれだけの種類をラインナップさせているわけなんです。
だから昔から研鑽され進化してきた輸入工具には、日本製では真似出来ないすごくいいモノがたくさんあります。
ニッパーの刃にはいろんな形があるんです
例えば当店でもっとも人気の高いこのニッパー。
私が工具業界に入った数十年前に日本国内に紹介され爆発的なヒットとなった『硬線ニッパ』と呼ばれるものです(今でも一番人気のニッパーです)。
みなさん知ってます? ニッパーって本当は針金状のモノを切断するのは苦手なんですよ。
ニッパーって切れ味をあげようとすると薄刃になっていく傾向があります、しかし薄刃にすればするほど今度は応力が集中しやすく丸い線状の相手を切った時に刃こぼれしやすくなるんです。
実際普通のニッパーを使っていて軟鉄以上の少し硬い針金みたいなモノを切って丸く刃こぼれさせた事がある人って結構いると思います。
しかし、このKNIPEXやBAHCOの硬線ニッパはまさにそんな針金状のモノを切るのに特化したニッパーだったんです。
今からは想像出来ないかもしれませんが、当時はかなり衝撃でしたね、だって何切っても刃こぼれしないんですから。
ちなみにこの硬線ニッパ。
針金を切っても刃こぼれしない秘密がふたつあります。
ひとつがこの刃の合口の形状。
刃の形状が『V字』になっていてそれの頂点同士が噛み合っているのがわかると思います。
これはボルトカッターのような大型切断工具の刃の形状も同じになっているのですが、1箇所に力が集中するような切断に強いと言われております。
V字刃を簡単な図にするとこんな感じですね。
この刃のメリットは薄刃になりにくく高強度を保ちつつ、細かな切断作業にもそこそこ対応出来る点です。
大雑把にいうと高強度なニッパーの万能型ですね。
他には。
こんな感じで先端の噛み合わせをわざとずらしている通称「大根切り刃」とかもあります。
ニッパーだけに限らずプライヤーのような形状の工具(ハサミとかも含む)は、刃こぼれを除けば最終的に支点部分のガタが切れなくなる原因になります。
支点がガタガタしてしまうのはV字刃とかのように刃の先端同士が噛み合っているか、ハサミのような刃が交差するような形状の場合、経年劣化や過剰な力が加わった場合ズレる方向に刃が逃げる事が主な原因になります。
その点、この刃形状なら最初からずらしてあるので刃の耐久性が上がるんですね。
もちろんデメリットもあって切断時の手応えがなんだか「ムニュー」ってなって、切れ味はすごく悪い印象を受ける事です。(実際はちゃんと切れます)
まぁ大根斬り刃を採用しているメーカーはあまりないので現実的にはV字刃を採用している、硬線対応のニッパーを1本持っているとダートバイクの整備には役立つと思います。
普通に細かな作業にも使えますし、ステンワイヤーの切断とかにはバッチリですからね。
あ、そうそう。
ちなみに刃こぼれしないもうひとつの秘密はすでに書いてしまいましたが、支点部のガタツキの防止です。
支点というのはここ。
ハサミとかもふくめて、この手の形状の工具はとにかくここの造りが製品の良し悪しを決めます。
よく安い工具と高い工具って何が違うの?とか聞かれますが、こういう細かな部分の造りがちょっとずつ違うんすよ。
ってなわけでオススメのニッパーを紹介したところで今回のコラムは終わりー……と、言いたいところなんですけど。
せっかくニッパーの話なので分割しないでもう1本だけ紹介。
仕上げにこだわるキワ切りニッパ
さっきの刃の形状の説明でピンときている人もいると思いますが、ある程度万能に使えて硬線もOKなV字刃のニッパーはいわゆる「ギリギリ」のところを切るのが苦手です(苦手ってか形状的に出来ない)
そしてギリギリが切れないと作業的に美しくないのが結束バンドの処理です。
ダートバイクだけじゃなくいろんな作業で便利に使える結束バンドですが、あまった部分の処理の仕方で見た目が結構変わりますよね。
業界によってはキチンと出っ張りなく切断処理しないとNGなところもありますので、ダートバイクだってその辺はちゃんとしてあげたいです。
でもやっぱりV字刃のニッパーではギリギリが切れない……。
そこでこれ。
もともとはエレクトロニクス用の基盤とかそういったモノで使うニッパーなのですが、これの刃はギリギリを切るのに適した形状になっております。
図にするとイメージはこんな感じ。
エレクトロニクス用なので硬いモノとかの切断は一切出来ませんが、その分コンパクトで配線をかいくぐっての結束バンドの切断とかにすごく適したニッパーです。
実際に切ってみると。
こんな感じでギリギリをカット出来ます。
本体も全長125mmと爪切りが一回り大きくなったくらいのコンパクトさなので小回りが効いていいですよ。
ってなわけで今回は2本のニッパーを紹介しましたが、別にそれを買えとかは言いません。
車両整備用途のニッパーだとこんな感じな2本を軸に揃えていくといいですよーってな感じで考えてください。
(もちろん買ってくれたら嬉しいですけど)
そして最後にひとこと。
いろいろある工具の中にあってプライヤー類というのは、実は安い工具と高い工具の違いが明確に出やすい工具なんです。
ですのでまだそういうちょっと良い工具を使った事ないなー、なんて人は、こんな日常でもよく使うニッパーから使ってみてください。
自分のトコのWebサイトでも日々いろんな工具を更新しております。
ブログももうちょい専門的なの書いてますので見てやってください。
Webサイト:https://www.abit-tools.com/
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