LEG4で水没によるエンジン故障でLEG5以降をキャンセル、完走が果たせなかった私は、
最終日のLEG6はサービスエリアでチームジャパン生き残りの関島さん、石垣さんを無事に迎えることができ、セレモニーフィニッシュ会場へ移動。その後表彰パーティーへ参加しました。
ここ数年タイのライダーの成長が目覚ましく、勝つことができなかった池町さんの、久々の優勝は嬉しかった。
心からおめでとうございます。
思えば同い年。20代の時の最初の出会いから、ものすごく強烈な印象を残した男でした。
AXCRでは常に日本のライダーの先頭を引っ張って来た池町さんには、色々教わって来ました。
今回のLEG3での区間6位を褒められ、その後の急展開の脱落に対して、「これからが本当のスタートだ」と、泣きたくなるような言葉をもらいました。
昨日はプノンペンから陸路で国境へ移動したのですが、300kmの道中、かなりの割合で悪路による凸凹やスコールがあり、私たちを乗せたハイエースはなかなか辿り着けません。朝の7時にスタートして、11時間後の18時に到着。食事もせずぶっ通しです。
ライダーは悪路、スコール、寒さと戦いながらの大移動で、国境では疲労にまみれた姿。それでも一様に元気で、やはりラリーライダーはタフな生き物なのだと再認識しました。
この時点で乗るはずだった飛行機は断念。国境で故障したバイクと対面し、押しながらタイへ通関。バイクをキャリアカーに預けて、再びハイエースでバンコクまでの400kmの旅。ホテルに着いたのがAM2時。LEG7は実はこの大会もっともタフなものだったのです。そしてドライバーに感謝!
今、エアコンの効いたホテルで、最後の原稿を書いています。
目をつぶれば、生々しく情景が浮かび上がります。
快調だったSS3の直線、曲がり角、分岐、沿道の応援。マップとメーターが合い、快感とも言えるライディング。
そして、SS4の水没による、突然の停止。悪夢。
「ラリーって、ずっと風を切りながら走るじゃないですか。目の前の風景が風とともに過ぎ去って行く。
でも、こうやって止まった瞬間に、見たことがない景色が目の前に現れる。ああ、こんなところを走っていたのかって。
だからラリーはやめられないんですよ。止まったら、止まった時の景色や状況を楽しめばいい」
そんなことを、汗にまみれて、焦りにまみれた私に話してくれた松本さんの表情が忘れられないのです。
上位を狙っていた彼も、この地点にくる前にウエストバッグを水田に落としたりとトラブルがあり、ラリーを捨てざるを得なかった。
でも、私に「国道出るまで付き合いますよ」と話しかけてくれた、その目が本当に輝いていました。
人をこんな表情にさせるラリーは、本当に素晴らしいと思いました。
トラクターに揺れながらの国道までの旅も、またラリー。
今年も濃密なAXCRの日々が終わりました。
チームジャパン大崎さんには『3歩進んで2歩下がればいい』と言われました。
なかなか叶わないけれど、いつか恩返しできればと、1歩ずつ進みます。
どれだけ失敗し、経験すれば一人前のラリーライダーになれるのかわかりません。
でもこの5年間、多くの人と出会い、経験を積まさせていただき、前進も後退も体験して来ました。
そんな思いを誰かと共有できたら嬉しいです。ぜひ、アジアの風を感じる冒険に、あなたも挑戦して欲しい。
私の2018年AXCRのウェブ記事はこれで終了。
雑誌の誌面レポートをぜひ読んでいただけたら、嬉しいです。
ありがとうございました!
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